最終更新:2026年9月/テナントビルの看板施工を手がける立場から、民法・区分所有法・自治体の手続きを確認して作成
借りている店舗に看板を付けるときは、オーナーの承諾が必要です。建物は貸主の持ち物で、退去時には原状回復の義務があるためです。
マンションなど区分所有の建物では管理組合の確認も必要になります。承諾は書面で、撤去と原状回復の範囲まで決めておきます。
「看板を付けたいのですが、オーナーさんに何を確認すればいいですか」。テナントの開業準備で、よくいただくご相談です。口頭で了承をもらって工事を進め、退去のときに揉める、というのが一番避けたい流れです。
この記事では、誰に・何を・どの書面で確認するかを、民法や区分所有法、屋外広告物の手続きをもとに整理します。承諾が取りやすい看板の選び方もまとめました。
オーナーへの説明資料からお手伝いします
テナントの看板は、承諾に必要な図面づくりから施工までワンストップ
オーナーや管理組合に見せる取り付け位置・寸法・取付方法が分かる資料を用意し、承諾が取りやすい形をご提案します。設計・製作・施工、退去時の撤去まで対応します。ご相談とお見積りは無料です。お電話でも、お問い合わせフォームからでもお気軽にどうぞ。
お電話:0120-944-599(平日9時〜18時)
この記事の内容

結論|承諾が要る相手は最大3者
テナントが看板を出すとき、確認する相手は建物の形と看板の大きさで変わります。多い場合は3者です。
| 確認する相手 | 確認すること | 必要になる場面 |
|---|---|---|
| ①オーナー(貸主) | 看板の設置そのものの承諾。位置・寸法・取付方法・撤去の条件 | すべてのテナント |
| ②管理組合・管理会社 | 外壁など共用部分の使用、ビルのサインのルール | 区分所有の建物、管理規約やサイン計画があるビル |
| ③自治体 | 屋外広告物の許可 | 許可が不要な面積を超える場合、規制の厳しい地区 |
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順番は「①→②→③」です
自治体の許可申請には、設置場所の所有者の承諾を示す書類を求められることがあります(6章)。オーナーと管理組合の承諾がそろってから、許可申請と製作に進むのが手戻りのない順番です。
なぜオーナーの承諾が必要か
理由は大きく3つです。どれも、契約が終わったあとや事故が起きたときに効いてきます。
| 理由 | 根拠 | 看板に当てはめると |
|---|---|---|
| 建物は貸主のもの | 賃貸借契約で決めた使い方の範囲でしか使えない | 外壁に穴をあける、電源を引くといった工事は契約で決めていない使い方になりやすい |
| 退去時に原状回復が要る | 民法第621条(賃借人の原状回復義務) | 看板の撤去と、取り付けでできた穴や傷の補修が問題になる |
| 事故の責任が建物にも及ぶ | 民法第717条(土地の工作物の責任) | 看板が落ちたとき、所有者が責任を負う場面がある(8章) |
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現場から一言
揉めるのはたいてい退去のときです。入居時に「看板はどうぞ」と口頭で言ってもらっていても、担当者が代わっていたり、オーナーが変わっていたりします。そのときに書面がないと、何を約束していたのか誰も分かりません。
もうひとつは電源です。照明付きの看板は電気の配線が要りますが、共用部の電源から取るのか、自分の区画から引くのかで、オーナー側の判断が変わります。看板本体より、配線の通し方で止まることが多いです。
建物の形で、確認する相手が変わる
| 建物の形 | 確認する相手 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1棟を1人(1社)が持つビル | オーナー、または委託を受けた管理会社 | 管理会社に決裁権がない場合はオーナー本人の承諾を取る |
| 区分所有の建物(マンションの1階店舗など) | 区画のオーナーと管理組合(管理会社経由) | 外壁は共用部分とされることが多い(4章) |
| 商業施設・駅ビル | 施設の運営者 | サインの基準書(デザインルール)がある。色・書体・大きさの指定も |
| 路面の戸建て店舗 | オーナー | 敷地内の自立看板・置き看板の位置も確認 |
| 転貸(サブリース) | 貸主と原所有者 | 貸主に看板を承諾する権限があるか確認 |
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区分所有の建物は管理組合も
マンションの1階や、区画ごとに持ち主が違うビルでは、区画のオーナーが了承しても、それだけでは足りないことがあります。
外壁は「区画のオーナーのもの」とは限りません
区分所有の建物では、外壁や屋上は一般に共用部分として扱われ、区分所有者全員で管理します。店舗の区画を持つオーナーでも、外壁に看板を付けることを1人で決められない場合があります。管理規約で看板の設置場所や大きさが決められていることもあります。
共用部分の扱いを決める区分所有法は、2026年4月1日施行の改正で決議の仕方が変わりました。
| 決議の種類 | 改正後の要件(2026年4月1日から) |
|---|---|
| 普通決議 | 出席した区分所有者と議決権の各過半数(改正前は総数の過半数) |
| 共用部分の重大な変更 | 区分所有者の過半数が出席し、出席者と議決権の4分の3以上(区分所有法第17条第1項) |
| 特別の影響を受ける区分所有者 | その人の承諾が必要(第17条第2項) |
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看板がどの決議に当たるかは、規約と中身で決まります
小さなプレートを既存の看板枠に入れるのか、外壁に大きな看板を新設して穴をあけるのかで、扱いは変わります。まず管理会社に「看板を付けたい。手続きはどうなるか」と聞くのが一番早いです。総会が必要な場合は開催の時期に合わせる必要があるので、開業日から逆算して早めに確認してください。
上の階が住戸の場合は、照明のまぶしさや、看板の位置が窓をふさがないかも住民の関心事になります。資料にその点を書いておくと話が進みやすくなります。
承諾書に書いておくこと
承諾は書面で残します。賃貸借契約書に特約として入れるか、別に承諾書を交わします。最低限、次の項目は書いておきたいところです。

承諾書に入れる項目
- 設置位置(図面や写真に印をつけて添付)
- 看板の種類と寸法(壁面、袖看板、窓、自立など)
- 取付方法(外壁への穴あけの有無と数、使う金具)
- 照明と電源(照明の有無、電源をどこから取るか、電気代の負担)
- 設置期間(契約期間中か、更新時の扱い)
- 退去時の扱い(撤去するか残すか、穴の補修をどこまでするか)
- 保守と点検(誰が点検するか、事故のときの責任と保険)
- 費用の負担(設置・撤去・補修・許可申請の費用を誰が持つか)
- 許可申請の名義(屋外広告物の許可を誰の名前で取るか)
現場から一言
オーナーへのお願いは、「看板を付けてもいいですか」ではなく「この位置に、この大きさで、この方法で付けます」と具体的に出すほうが通ります。何をされるか分からない状態が、一番断られやすいからです。
当社では、承諾を取るための取り付け位置の図面、完成イメージ、取付方法の説明を用意します。オーナーや管理会社から出た質問にも、施工する側として直接お答えできます。
契約書の特約を先に確認してください
事業用の賃貸借契約では、看板の設置や原状回復の範囲が特約で細かく決められていることがよくあります。承諾書を作る前に、手元の契約書で「看板」「広告物」「原状回復」「造作」の条項を探してください。法的な判断が必要な点は、弁護士などの専門家にご確認ください。
許可申請にも承諾の書類が要る
看板が屋外広告物の許可の対象になる場合、申請の段階でも所有者の承諾が問われます。
県条例の区域の例(福岡県大木町)
許可申請の添付書類として、「設置場所が他人の所有又は管理に属するものは、その承諾を証する書類又は写し(広告物設置承諾書)」が挙げられています。
必要な書類は自治体によって異なります。オーナーの承諾書は、許可申請にもそのまま使える形で取っておくと二度手間になりません。
許可が要るかどうか、どこに申請するかは設置場所の市町村で変わります。福岡市は福岡市の屋外広告物 許可申請のやり方、県内の申請先は福岡県の屋外広告物の申請先で整理しています。
退去時の撤去と原状回復
2020年4月施行の改正民法で、賃借人の原状回復義務が条文になりました。
民法第621条(賃借人の原状回復義務)
「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。」
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 付けた物は外す | 借りた物に付けた物を収去する義務(民法第599条第1項)が、賃貸借にも準用されます(第622条)。看板は原則として撤去です |
| 穴や傷は補修 | 取り付けでできた穴、金具の跡、変色などは原状回復の対象になり得ます |
| 住宅のガイドラインは店舗には当てはまらない | 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は民間賃貸住宅を想定したものです。店舗や事務所は契約の特約が中心になります |
| 残す合意もできる | 次のテナントが使える看板枠などは、オーナーの合意で残すこともあります。承諾書に書いておきます |
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撤去の費用の考え方と、原状回復がどこまで必要かは看板撤去の費用相場と原状回復で詳しく扱っています。入居時に撤去の見積りも取っておくと、退去時の予算が立ちます。
落下事故の責任は誰にあるか
民法第717条第1項(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
看板が落ちて通行人がけがをした場合、まず問われるのは看板を使っている側、場合によっては建物の所有者です。オーナーが看板の取り付け方や点検を気にするのは、この責任が自分にも及び得るからです。
承諾を取るときに約束しておくと安心なこと
- 施工は登録のある業者に頼む(屋外広告業の登録)
- 定期的に点検する。誰がいつ行うか決めておく
- 台風の前後に固定部を確認する
- 事故に備えた保険の有無を確認する
点検については看板点検サービス、台風への備えは看板の台風対策をご覧ください。
承諾が取りやすい看板の選び方
オーナーが気にするのは「穴」「電気」「落ちないか」「外したあと」の4つです。ここを減らせる看板は、承諾が早く下ります。
| 看板 | 建物への影響 | 承諾の取りやすさ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 既存の看板枠の面板交換 | 枠はそのまま。面板だけ入れ替え | 取りやすい | 枠のサイズに合わせて製作 |
| ウィンドウサイン | 自分の区画の窓に貼る。穴があかない | 取りやすい | 天神の明治通り・渡辺通り沿いは窓面広告物が不可 |
| スタンド看板 | 置くだけ。工事なし | 取りやすい | 歩道に出さない。敷地内の置き場所を確認 |
| プレート看板 | 小さな穴が数か所 | 比較的取りやすい | 穴の位置と補修方法を示す |
| 壁面看板・袖看板 | 外壁に穴、電源工事 | 資料と説明が必要 | 構造・電源・点検の計画をセットで出す |
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現場から一言
前のテナントの看板枠が残っている物件なら、面板だけ作り替えるのが一番早くて安いです。オーナーにとっても建物に新しい穴が増えないので、ほぼ断られません。
壁面看板を新設したい場合も、穴を目地や既存のアンカー跡に合わせる、電源を自分の区画から引くなど、オーナーの心配を先回りして潰した計画にすると通りやすくなります。窓を使う場合はウィンドウサインの貼り方の賃貸の注意点も参考にしてください。
テナント看板のご相談
承諾のための資料づくりから、施工、退去時の撤去まで、看板の一生をまとめてお引き受けできます。
よくある質問
テナントが看板を付けるのにオーナーの承諾は必要ですか?
必要です。建物は貸主の所有物で、外壁に穴をあけたり電源を引いたりする工事は、賃貸借契約で決めた使い方を超えやすいためです。また民法第621条で、賃借人は退去時に損傷を原状に復する義務を負います。看板が落ちて他人に損害を与えた場合、民法第717条で占有者、場合によっては所有者が責任を負うことがあるため、オーナーにとっても関心の高い事項です。承諾は口頭ではなく書面で残してください。
マンションの1階店舗ですが、区画のオーナーの承諾だけで足りますか?
足りないことがあります。区分所有の建物では、外壁は一般に共用部分として区分所有者全員で管理し、管理規約で看板の設置場所や大きさが決められていることもあります。まず管理会社に手続きを確認してください。2026年4月1日施行の改正区分所有法では、普通決議が出席者の過半数、共用部分の重大な変更が出席者と議決権の4分の3以上に変わっています。総会が必要な場合は開業日から逆算して早めに動いてください。
承諾書には何を書けばいいですか?
設置位置(図面や写真を添付)、看板の種類と寸法、取付方法(穴あけの有無と数)、照明と電源、設置期間、退去時の扱い(撤去するか残すか、穴の補修の範囲)、保守と点検、費用の負担、屋外広告物の許可申請の名義です。事業用の賃貸借契約では看板や原状回復が特約で決められていることが多いので、先に契約書を確認し、法的な判断が必要な点は専門家にご相談ください。
屋外広告物の許可申請にもオーナーの承諾は必要ですか?
求められることがあります。たとえば福岡県大木町では、許可申請の添付書類として「設置場所が他人の所有又は管理に属するものは、その承諾を証する書類又は写し(広告物設置承諾書)」が挙げられています。必要な書類は自治体によって異なりますが、オーナーの承諾書を許可申請にも使える形で取っておくと二度手間になりません。
退去するとき、看板は外さないといけませんか?
原則として撤去です。借りた物に付けた物を収去する義務(民法第599条第1項)が賃貸借にも準用されており(第622条)、取り付けでできた穴や金具の跡も原状回復の対象になり得ます。ただし次のテナントが使える看板枠などは、オーナーとの合意で残すこともあります。国土交通省の原状回復ガイドラインは民間賃貸住宅を想定したもので、店舗や事務所は契約の特約が中心になります。
看板が落ちたら、誰の責任になりますか?
民法第717条第1項では、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害を与えたとき、まず工作物の占有者が責任を負い、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が責任を負うとされています。看板を使うテナントと建物のオーナーの両方に関わるため、承諾の段階で、施工業者、点検の担当と時期、保険の有無を決めておくと安心です。
オーナーに断られにくい看板はありますか?
建物に手を加えない看板です。前のテナントの看板枠が残っていれば面板だけの交換、自分の区画の窓に貼るウィンドウサイン、置くだけのスタンド看板は承諾が取りやすいです。ただし福岡市の天神の明治通り・渡辺通り沿いでは窓面広告物が掲出できず、スタンド看板は歩道に出せません。壁面看板を新設する場合は、穴の位置、電源の取り方、点検の計画を資料にして出すと通りやすくなります。
オーナーへの説明資料も作ってもらえますか?
はい。取り付け位置を示した図面、完成イメージ、取付方法の説明を用意します。オーナーや管理会社から出た質問にも、施工する側として直接お答えできます。承諾が取れたあとの製作・施工、屋外広告物の許可申請のご相談、退去時の撤去と補修までまとめてお引き受けします。ご相談とお見積りは無料です。
まとめ
- テナントの看板はオーナーの承諾が必要。口頭ではなく書面で
- 区分所有の建物は管理組合の確認も。外壁は共用部分とされることが多い
- 区分所有法は2026年4月1日施行の改正で決議要件が変わった
- 承諾書には位置・寸法・取付方法・電源・期間・撤去・点検・費用・申請名義
- 許可申請で所有者の承諾書を求められることがある
- 退去時は原則撤去(民法第621条・第622条)。穴や跡の補修も
- 住宅向けの原状回復ガイドラインは店舗には当てはまらず、特約が中心
- 落下事故は占有者、場合により所有者の責任(民法第717条)
- 面板交換・ウィンドウサイン・スタンド看板は承諾が取りやすい
看板の承諾は、開業準備の中で後回しにされがちです。物件を決めた段階で、看板の位置と条件もあわせて確認しておくと、開業日に間に合います。
承諾のための資料づくりから、施工・撤去までワンストップ
オーナーや管理組合に出す取り付け位置の図面・完成イメージ・取付方法の説明を用意し、承諾が取りやすい形をご提案します。デザイン・製作・施工、許可申請のご相談、退去時の撤去と補修までお引き受けします。福岡はもちろん、九州全域から全国まで対応します。ご相談とお見積りは無料です。お電話でも、お問い合わせフォームからでもお気軽にどうぞ。
お電話:0120-944-599(平日9時〜18時)
出典・参考
- 民法第621条・第599条(賃借人の原状回復義務・収去義務)の解説
- 民法第622条(使用貸借の規定の準用)
- 民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
- マンション管理センター「共用部分の変更にはどのような手続きが必要ですか」
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
- 大木町「屋外広告物の許可申請について」
※本記事は2026年9月時点の法令と公開情報をもとに、看板の設置に関する実務の整理として作成しています。承諾の要否、原状回復の範囲、責任の所在は、賃貸借契約の内容、管理規約、個別の事情によって変わります。法的な判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。屋外広告物の許可に必要な書類は、設置場所の市町村の担当課にご確認ください。




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